湖南市サイコー

滋賀からパリオリンピックを目指すプロランナー「川崎友輝選手」の思いの丈を聞いてみました。[PR]

2020年4月1日
滋賀県自習室

滋賀県米原市出身、プロランナーとして活動中の川崎友輝選手。陸上との出会いと魅力、プロランナーと実業団との違いから、現在の目標や地元・滋賀への恩返しとして掲げる「陸上アカデミー」まで、いろいろお伺いしました。

陸上との出会い〜野球から陸上へ〜

  • はじめまして。人生はじめての本気でオリンピックを目指している人へのインタビュー。少しばかり緊張しております笑

    それでは早速ですが、陸上への出会いをお伺いしてもよいでしょうか?

  • • もともと、小学3年生から中学2年までは、クラブチームで野球をやっていました。どちらかといえば、やんちゃな生徒でしたね(笑)。当時は、監督が選手に手を出すことも少なくない時代。そういうこともありフラストレーションが溜まっていき非行に走るようになりました。僕は次第に野球への気持ちがなくなり辞めました。
    野球を辞めたあとフラフラしていた僕を陸上に誘ってくれた先生がいました。

    非行に走っていた僕に変な先入観を持つことなく、接してくれたことが嬉しかったですね。「この先生が誘ってくれるなら陸上をやろうかな」と思ったことが、僕と陸上との出会いです。

  • 学生の時に出会った陸上という存在。その中で大きな魅力はどんなところにありましたか?

  • 僕が感じる陸上の一番の魅力は、努力の成果が出やすいところ。“正しい努力をすれば”の話ですが。

    でも、例えば野球だと、戦術や監督の方針によっていろいろ変わってくるんですね。でも、陸上は頑張れば頑張るほど結果がでる。

  • 正しい努力をし続ければ結果がちゃんと出てくる。

  • そうです。
    ただ僕は、走ることが好きかと問われたら、実はそうでもないんです。走っている最中に楽しいとか、今日は気分が乗るから走りにいこうとか。そういう風に思ったことは、ほとんどありません。

    それよりも、自己ベストを出したときの達成感とか、良い練習ができたときの満足感とか。そういった喜びのほうが大きいです。

プロランナーになるきっかけはやりきりたいという思いが大きいです。

  • 草津東高校卒業後は青山学院大学へ進学した川崎選手。
    青山学院大学といえば、箱根駅伝で優勝争いをする名門チームとなります。その箱根駅伝では2013年の箱根駅伝では4区を走るというランナーのキャリアとしても順調な滑り出しとなっています。

    ではその後のキャリアはどうなったのでしょうか?

  • 卒業後は、横浜DeNAランニングクラブ、サンベルクスと2社の実業団に所属しました。しかしケガなどもあり、満足のいく結果を出すことができず、契約終了。

    当時、26歳になる手前。ランナーとしては、決して若いわけではありません。将来のことを考えたとき、どこかの企業に就職するのもひとつの手だと思いました。しかし、せっかくここまでやってきて、中途半端に終わりたくないなと。

    青山学院大学時代の後輩・神野大地がその年の5月からプロランナーとして活動していました。僕も、自分のやりたいように悔いなくやってみようと、プロランナーの道を選びました。

  • 実業団で走ることとプロランナーで走ることでは大きな違いはありましたか?

  • 違いは、大きく分けて2つあります。

    ・活動資金
    ・裁量権

    実業団にいた頃は合宿やレースなど競技にかかるお金は全て会社で持ってくれていましたが今は全て自分で支払う必要があります。プロになってから実業団時代すごく恵まれていたことに気付きました。

    実業団時代は駅伝などがありチームの方針で動くことが多かったです。そういうこともあり練習やレースなどある程度は監督やスタッフなどに裁量権がありました。

    一方、今は、全部自分でマネジメントする必要があります。全責任を自分が負う一方、全てを自分で決めることができます。信頼できるコーチを選び練習することを含め、大きなやりがいを感じていますね。

  • プロランナーになって大変だった部分はどんなところがあったでしょうか?

  • 金銭面に関しては、大学卒業後はケガなどもあり、あまり実績を残せていなかったため、応援してくださる、支援してくださる企業さんを見つけるのは、決して容易ではありませんでした。

    でも、その中でも競技を続けたいとの思いがあり、地元滋賀県でスポンサーを探し、ご縁をいただくことができました。本当に感謝しかないですね。

新たなステージへ。マラソン王国・ケニアでのトレーニングを開始

  • 僕がケニアに興味を持ったのは、高校時代からです。高校駅伝や箱根駅伝にもケニアからの留学生が走っていますし、マラソンの世界記録保持者もケニア人。ケニアはマラソン王国です。強い理由、練習環境、メンタルについて学びたいと、ケニアでのトレーニングを計画しました。

    実際にケニアに行って感じたのは、陸上に対する覚悟の違いです。弱い選手も強い選手も「陸上で成功して家族を養いたい」「マラソンで成功して生活したい」といった夢を見て走っています。

  • 日本人とケニア人のハングリー精神で大きく異る部分はどのように感じられましたか?

  • 日本の企業に属している選手は、結果の良し悪しにかかわらず安定した固定給がもらえます。これは良いことでもあるんですが、ケニア人のハングリー精神は、今の日本人ではなかなか生まれにくい考え方だと思いました。

    もうひとつは、環境の違いです。ケニアの標高は、約2400m。滋賀県で最も高い山である伊吹山の標高が約1377mです。1000m以上高い場所で、生まれて生活している。心肺機能、心肺能力が高い理由も納得です。

  • 僕自身、標高の高い環境で追い込むことで、パフォーマンスが上がると考え、度々ケニアに足を運びトレーニングに励んでいます。

    トレーニングの様子は、公式サイト内のブログにて、随時発信していますので是非見てください!

参考リンク:川崎友輝公式サイト

中学生を対象とした陸上アカデミーの創設へ

  • 現役選手としてもオリンピックを目指して日々研鑽している川崎選手。新たなチャレンジもされていると聞きました。

  • 今は自分が現役をやりながら中学生を対象とした、陸上アカデミーの創設を考えています。その理由として、まず僕自身が中学時代、陸上の存在に救われたということ。陸上を通じて目標を見つけることができたことで今の自分があるので、そんな陸上競技に対する恩返しという思いがまずひとつ。

    もうひとつの理由は、地元・滋賀県の陸上レベルを上げたいとの思いです。滋賀県の陸上は、全国的に見ても、決してレベルが高いとはいえないのが現状です。2018年9月に滋賀に帰ってきたとき、現場の先生とも話す機会がありました。

    先生たちも、親身になって頑張っておられますが、働き方改革などもあり、部活に割ける時間は少なくなっているとのこと。お話をお伺いして、手助けできればとの気持ちがより高まりました。

  • 伝えたい想いとしてはどんな部分にありますか?

  • 高校時代の僕も、滋賀県内では誰にも負けない選手でした。多少なりとも天狗になっていたと思います。でも、近畿、全国と上に行けば行くほど、もっと強い選手がいくらでもいます。満足してしまえば、今以上に強くなることはありません。

    中学生に「もっと先を見て」というのは、難しさもあると思います。しかし、滋賀県から日本、世界へと目標を変えるきっかけづくりができればと考えています。

  • 現役の選手が世界を目指して走ることを伝えていく。とても面白そうです!陸上アカデミーの具体的な内容などは決まっていますか?

  • 主な対象は、長距離をやっている中学生です。最初は週に1回を予定しています。

    僕自身がケガに苦しんだ経験が多いこともあり、成績が伸び悩んでいる選手やケガに苦しんでいる選手に対し、正しい知識や適切なトレーニング方法を教えたいと思っています。また、青山学院大学時代にコミュニケーション能力を養えたし、目標設定の大切さを学んだので、走ること以外の部分も伝えることができればと思っています。

    陸上は、他のスポーツに比べると体格による有利・不利が少ない珍しいスポーツだと思います。身長が高ければスライドが広くなりますが、その分鍛える部分も増えるためトレーニングが必要になります。運動が苦手な子でも中学生から正しい方法でトレーニングすることができれば、長距離においては競技成績に大きくプラスになると考えています。

    他の種目、サッカーや野球に取り組んでいる子も大歓迎です。特にサッカーやトライアスロンなどは、走る部分も多いため、知識やトレーニングを応用できると思います。

2024年のオリンピックを目指して逆算して目指していくもの。

  • 直近の目標は、2020年11月に神戸で開催される「神戸マラソン2020」です。2時間11分台を目標に、今、トレーニングに励んでいます。

    そして「2021アジア選手権マラソン」のステップを踏む中で、2024年のパリオリンピックやその次のロサンゼルスオリンピックが見えてくるのかなと。

    大学時代にも、原監督から「常に半歩先の目標を立てる」ことを言われていました。まずは自分のできる半歩先のことを目指す。やってみなければわからないので、まずは目標や設定を決め、確実にひとつずつクリアするようにしています。

    僕が日頃から大切にしているのは、最高の準備をすること。大会当日には、もう結果が決まっていると思っています。3ヶ月前から練習ができていたか、どういった過ごし方をしてきたかで、当日の結果が決まる。だからこそ、最高の準備をして臨むことでどんな結果でも納得できると思っています。

  • それでは最後に滋賀県の子供たち、そして応援してくれている方々へのメッセージをお願いします。

  • 箱根駅伝が全てではありませんが、滋賀県から関東の大学に進学して、箱根駅伝に出る選手が少ないことに、さみしさを感じています(笑)
    陸上長距離をやっているなら、目指してほしいですね。

    もうひとつは、長距離・短距離にかかわらず、せっかく陸上競技をしているなら、なるべく長く続けてほしい。ケガで諦めることになったり、陸上が嫌いになったりするのは、さみしいことです。

    自分で目標を考えつつ、自分なりの陸上との向き合い方、楽しみ方を見つけてもらえればうれしいです。

  • そして僕自身、生まれてから高校を卒業するまで、ずっと滋賀県で育ってきました。練習環境のことなどもあり、今は東京にも拠点を置いていますが帰省のときなど、滋賀県に帰ってくるとやはり落ち着きます。

    帰省したときには、希望が丘文化公園でトレーニングをしたり、気心知れた仲間と遊びに行ったりしています。地元ならではのあたたかさがありますね。

    滋賀県の人たちに応援していただくことで、一層競技にも力が入ります。見ていただける機会を増やせるよう、できるだけ滋賀県の大会にも出場できればと思っています。

    応援、よろしくお願いいたします!

取材の中で、見せてくれた笑顔。そして陸上に対する真摯な想いを聞いたあと頂いた感想として、私が想像していた何倍も素敵な方であり日々の積み上げが今の川崎選手を作り出しているのだと感じました。

これから2024年を目指して走っていく滋賀県からのオリンピックランナー。ぜひ川崎選手の動向に期待してほしいと想います。

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